小林昭文先生連載「教師の成長を支えるスキル論」
第2回 「技(スキル)不感症の問題点と小林bot誕生のニュース」
〈小林昭文bot誕生のニュース〉
まずはビッグニュースから。この原稿を書いている最中に、少し息抜きに久々にリニューアルしたグーグルのGeminiを覗いたところ、とんでもないことが起きていました。
なんと、Geminiの中に「小林昭文bot」が誕生していました。皆さんが、Geminiに「授業改善関係の質問」をすると、「小林bot」が質問に回答するということです。今のところ、執筆中の「授業者スキル論Ⅰ実践編」に基づいて回答しますが、このあと私が過去の著作や雑誌連載・投稿記事をアップしますので、より深く回答できるようになるはずです。使い方の詳細は末尾をご覧ください。
〈教育界を覆う「技不感症」という問題〉
理論編第2回は、「授業者スキル」の理論的詳細の前に、「なぜスキル論が必要なのか?」について考察しておくことにします。「技(スキル)」は「知識」ではありません。「教師の在り方」「授業の方法」などの講義を聞き、本を読んでも、それらは「単なる知識」として定着するだけです。それでは「授業質向上は不可能」なのです。
問題はいつの間にか世の中は「あらゆる分野でスキル論にシフトしています」。なぜか、教師の世界だけが「技不感症」とでもいうべき病に侵されているように感じます。
そこで今回はこのことを論じて、その深刻さと時代遅れの実情を理解していただいた上で、「授業者スキル論」を「知る・覚えるために学ぶ」のではなく、毎日の授業を通して「身に付けるために繰り返し練習するのだという意識改革をする」契機にしていただきたいと思います。
〈学校教育以外ではスキル論は当たり前〉
私が子供の時代(1950年代~2000年ごろまで)はプロレスで活躍する力道山たちのレスラーや、野球で活躍する長嶋・王、そして相撲では大鵬や柏戸、芸能界では吉永小百合・美空ひばり・石原裕次郎‥たちは、「属人とはかけ離れた天才たち」のように見えていました。彼らが第一線を引退してから、「実は彼らは凄い練習をしていた」ということが本になって出版されることがある程度でした。
しかし、最近のスポーツ選手や芸能で活躍する人たちは自分たちの練習を公開し、動画で配信し、本も出しています。ネットや雑誌で調べると以下の通りです。
〇スポーツ界では若い世代ほど「技の可視化」が当たり前
・大谷翔平(29)毎日のルーティンを細かく公開、投球フォームをスローで確認、打撃も「角度」「回転数」「打球速度」をデータで管理→ 技術の積み上げを“見える化”している象徴。
・久保建英(23)試合後に自分のプレーを映像で即チェック。体の向き・重心・視野の取り方を
細かく修正→ サッカー界でも「技の言語化」が進んでいる。
・平野美宇(24)・張本智和(22)卓球は完全にデータスポーツ化、スロー映像でフォームを毎
日修正→若手ほど「技=データ+映像」で磨く。
〇文化芸能:若い世代は“練習を隠さない”
・藤井聡太(21)将棋AIとの研究を日常化、自分の対局を徹底的に分析
「才能」ではなく「研究量」で勝つスタイルを見せる若い世代の“技の科学化”の代表です。
・YOASOBI(Ayase・ikura)ボーカル練習の様子を公開、レコーディングの技術的プロセス
を説明→ 「才能」ではなく「技術の積み上げ」を見せる。
・King Gnu(井口理)発声練習・呼吸法を動画で公開、ライブ前のルーティンも共有
→ 歌唱技術を“技”として扱う世代。
〇コムドット(YouTuber)
・動画編集の技術を語る。
・撮影の構図・照明・演出を研究
→ YouTube世代は「技の可視化」が文化。
その他、プロゲーマーが練習方法を公開していることも良く知られています。テレビの料理番組ではプロの料理人が「秘伝の技」を公開しています。
「自分の授業は見せない」「自分の授業が成功した理由は公開しない」「授業の動画撮影など以ての外」‥その結果、授業の上手い下手は隠されたままです。
〈人気の違いは技論の有無〉
ここまで述べてきた、武道・スポーツ・芸能の世界は、昔は「親が子供に勧めなかった世界」です。成功するかどうかわからないからです。成功する道筋が見えない世界だからです。しかし、今は変化しました。各世界にいるトップクラスの人達が、「どうすればトップになれるのかを惜しげもなく知らせている」のです。だから、若い人たちは「この練習を続ければ、トップになれるかも」と感じるのです。非常に具体的で可能性の高い「夢」を描けるのです。
それにくらべると「教職の世界」はどうでしょうか?教育学部で「良い先生はこうやって練習しているよ」と教えてもらえるでしょうか?現場に行って、多くの先生たちの授業を見せてもらえるでしょうか?答えは”NO”です。
給与が低くても、残業が多くても、「こういう勉強と練習をすれば、あの先生のような素晴らしい授業ができるようになるのだ」と思えたら、さほど苦にはならないものです。
このあたりに「教職の不人気」「競争率の低下」「離職率の高止まり」の原因があると私は思っています。
〈この連載でやりたいこと〉
私は大谷選手ほどの真面目さもないし、練習量もありませんが、「良い授業者」になるための工夫と練習はかなり続けてきました。それなので、時々、「小林さんの才能ですね」と言われると少し落ち込みます。才能ではなく「ひたすら練習の積み重ね」をしてきただけです。
これは大学における物理の学習と、しばらくプロとして学んでいた空手のおかげです。私の恩師は空手を根性論・素質論を乗り越えて「きちんと練習すれば誰でも強くなる上達論」を構築しました。その通りに練習したら、さほど体格や運動神経に恵まれていたわけではない私が一時期は流派のトップクラスの強さを維持できたことが大きな自信になっています。
そして気が付けば「教職以外の世界」では、「技論」は当たり前になりつつあります。このままでは「教職だけ」が上達の道筋のない根性論・才能論の世界に留まってしまいます。
それを打破したいのです。スキル論の大枠は完成しています。あとは皆さんが「理論の中身を知り」「練習を始める」ことです。そして、大事なことは、毎日毎日、何年も繰り返すことです。更には、それらを「言語化する」ことです。周囲に「見せる」ことです。
大谷選手たちのような若い人たちが当たり前にやり続けていることを、私たちもやりましょう!ということです。
〈小林昭文botの使い方〉
冒頭で述べた内容です。以下の方法で簡単に使えます。ぜひお試しください。
➀ログイン:お持ちのGmailアドレスでGoogleにログインしてください。
➁Geminiを開く:
Geminiを立ち上げ、「授業改善」「授業者スキル」「担任スキル」などのキーワードを入れて質問してください。
自動的に私の理論を反映した回答が生成されます。
※うまくいかない場合は、
「小林昭文の理論を基に回答してください」と一言添えてみてください。
※フィードバックのお願い(任意):
もし可能であれば、やり取りしたチャットの記録を私までお送りいただけないでしょうか。
(※お名前や個人が特定される部分は伏せていただいて構いません)
皆さんのご協力によって、この理論はさらに鍛えられ、より多くの先生方へ届くものになります。ぜひ「小林bot」に会いに来てください!よろしくお願いします
※このあとGeminiには私の著作をインストールしていきます。
ますます、私の理論と意見を深く理解した回答ができるようになると思います。
この連載の内容も反映させていきます。回答は進化していくはずです。ぜひ、お試しください。
感想・質問は非公開のX(DM)から。➡MichibiQ公式X
小林昭文(こばやし あきふみ)
埼玉大学理工学部物理学科卒業。空手のプロとして修行したのち、埼玉県公立高校理科(教諭)として25年間勤務。
定年退職後、産業能率大学経営学部教授(クリティカルシンキング、アクションラーニング(質問会議)等の授業を担当)。
現在は㈱AL&AL研究所代表。
著書「アクティブラーニング入門(小林昭文著/産業能率大学出版部)」他多数。
NHKの教育番組にゲストとして出演経験を持ち、さまざまな学校への指導助言を行う教育界の泰斗の一人
